ミッキー・ハート・インタビュー グレイトフル・デッドからリズム・デヴィルスへ by マイク・ラゴーニャ ●現在ツアー中ですよね。  リズム・デヴィルズでツアー中で、今ピッツバーグにいるんだ。 ●ピッツバーグはどうですか?  美しいね。とても素敵なところだ。ピッツバーグはいい町だ。大好きだよ。 ●あなたとビル・クロイツマンでリズム・デヴィルズを組んで、賑やかな仲間達とツアーをやっているわけですね。  いろんな人間が集まって非常に面白い組み合わせが出来ている。シーキル・アディポージョはナイジェリア出身のミュージシャンで、トーキング・ドラムを演奏するんだ。彼はトーキング・ドラムの名手だ。それから、カリフォルニア出身のティム・ブルームがギターとヴォーカルを担当している。マン島出身のデイヴィー・ノウルズは優れたヴォーカリストで、ギターの名手でもある。そして、アンディー・ヘスがベースだ。とても面白い組み合わせだろ。これはダンス・バンドであって「Drumz」と「Space」ではない。グレイトフル・デッドの曲もやるけど、ロバート・ハンターに歌詞を書いてもらったリズム・デヴィルズのオリジナル曲も演奏しているんだ。さまざまなパーソナリティーが集まってエキサイティングで強力なコンビネーションが出来上がっている。 ●リズム・デヴィルズという名前の由来を聞かせてください。  1970年代のある晩、ジェリー・ガルシアがビルと私のことをそう呼んだんだ。「お前ら、リズム・デヴィルズ(リズムの鬼)だな。リズムを追求する様なんて、まさにデヴィルだね。」って。バンドではこれが採用されていたんだけど、ファンはリズム・デヴィルズを「Drumz in Space」----セカンド・セット中にドラムが冒険する部分があるだろ----と呼ぶようになった。そして、これがグレイトフル・デッドのコンサートの中の即興演奏の時間になったんだ。数年前にもそういうバンドを作って、ダンス、トランス・ミュージックを演奏したんだ。その時は、ショウを数回しかやらなかったんだけど、数カ月前にビルから「またやろう。」っていう電話があったんだ。そういう経緯があったのさ。少し違うラインナップでツアーに出て、こうして大パーティーをやってるんだ。ツアーが終わらなければいいのにって思うことは殆どないけど、今回は思うね。このバンドにはとても魅力的で非常にパワフルなところがある。 ●素敵なライヴ・アルバムをリリースするために、一部のショウは録音しているのですか?  マイケル、私があらゆるものを録音していることは知ってるだろ。 ●(笑)ええ、もちろん。だから、今回も録音してるのでは、と思ったのです。  いつも、消去する以上に録音してるよ。 ●ジェリーが亡くなった後、残のメンバーが集まってジ・アザー・ワンとかいろいろなことをやりましたよね。  うん、そうだね。 ●ジ・アザー・ワンには、ジェリーがいなくてもグレイトフル・デッドの伝統を続けていこうという意図がありましたよね。  そう。ジェリーのいないバンドだった。 ●そのような状態なのに、それでもバンドの旗を掲げていました。次が、ザ・デッドで、今はリズム・デヴィルズですね。  グレイトフル・デッドもそうだったように、このバンドも進行中の作業と言える。ミュージシャンの人生は旅だ。ジェリーはグレイトフル・デッドの一部だった。全体ではなかったけど、大きな部分を占めていた。ジェリーだったら、私達が「はい、以上で音楽は終わり。」って言いながらバンドを引き払うのを良しとしないんじゃないかなと思うんだ。そんなに弱くてどうするってジェリーなら考えるだろうなあ。最初は、ジェリーの死は大打撃だったけど、一連の曲はバンド全員で生み出したものであって、皆で書いた曲だってあることが分かるやいなや、伝統をやめないほうがいい、フィーリングやグルーヴを絶やさないほうがいいって思うようになったんだ。だから、こうしてさまざまな形でグレイトフル・デッドの音楽を演奏することは、グレイトフル・デッド・スタイルの音楽の遺産と系譜を続けようという真面目な試みなんだよ。 ●素晴らしいです。あなたがずっとかかわっている多数のプロジェクトの中に、プラネット・ドラムがありますね。  プラネット・ドラムは今ではグローバル・ドラムっていう名前になってるんだ。どちらも素晴らしいグループで、どちらもグラミー賞を獲得しているから、大成功のプロジェクトだった。来年はそっちの活動も増やしたい。 ●プラネット・ドラムのレコーディングを行なう時には、アルバムをリリースする予定があって行なうのですか? それとも、もっと気まぐれな状態なのですか?  その両方が少しずつかな。まずは全員をひとつの部屋に入れるという作業をしなければならない。全員が世界中に散らばって、各自のリズムを演奏しているので、皆を集める必要がある。ある種の計画は立てるんだけど、殆どの場合、それはグループとして集まった時に、魔法のように生じるんだ。計画が出来上がると、バンドは強くなるものなのさ。計画っていうは、メロディーが殆どないリズム的な土台のことだ。メロディックなパーカッションて言うほうが一番適切かな。それがプラネット・ドラムやグローバル・ドラムの基礎になっているんだ。 ●あなたはアメリカン・フォーク・ライフ・センターや国会図書館でさまざま活動家や民族音楽研究家達と一緒に作業をしていて、アメリカン・フォーク・ライフ・センターの評議員会のメンバーも務めていますね。こうした組織の中ではあなたはどのような役割を果たしているのですか?  スミソニアン・フォークウェイズの評議員もやってるよ。私の専門はデジタル化の作業と、現地固有の音楽への造詣だ。特にかかわっているのが、国会図書館でやっている絶滅危惧音楽に対する保護プロジェクトだ。私はそうしたことの監修なんかをやってるんだ。 ●あらゆる演奏がアーカイヴ化されているグレイトフル・デッド出身者がそうしたことを担当するというのは、非常に理にかなったことですね。アーカイヴ化はあなたではなくて、主にファンが行なっていることですけど。  事実、ファンは私の記録係だ。何年何月何日に、私がどこにいて、何を演奏したのか、演奏の出来具合はどうで、どのくらい長かったのかを知りたいと思ったら、デッドベースという名のデッドのアーカイヴを調べればいいんだ。そこまで徹底してるんだから、笑っちゃうよね。それを作ってるファンはとても真面目で、明瞭で正確なアーカイヴが出来ている。私が図書館でやっている作業は、1890年から現在までの音楽を時系列に沿って並べることなんだ。フィールド・レコーディングされた音楽をね。アメリカに加えて、世界の他の地域の現地固有の音楽や民衆音楽等も含まれている。 ●世界中の民族音楽に加えて、ネイティヴ・アメリカンの音楽にも力を入れているんですよね?  もちろん。ウィスコンシン州でパウワウ(ネイティヴ・アメリカンの祈祷会)を録音したよ。それから、スミソニアンから『Honor The Earth』っていうタイトルのCDをリリースしたんだ。これは(ジョージ・アームストロング・)カスターの頃から第1次世界大戦、第2次世界大戦、湾岸戦争に至るまでのネイティヴ・アメリカンの戦争の歌を集めたものなんだ。ネイティヴ・アメリカンの人々が、アメリカという国家に仕えておきながらも一方では虐げられていたというのは、悲しい物語だ。私はネイティヴ・アメリカンの音楽の大ファンなんだ。いつも聞いてるよ。 ●「リズムズ・オブ・ザ・ユニヴァース」という面白い曲がありますね。天文学的なデータに基づいて作曲されたものとか。  その通り。これは、かれこれ1年以上作業を続けている次のプロジェクトだ。恒星や惑星、ビッグ・バンから届いた光波や電波を音波に変換して、それを音楽的なコンテクストの中で使うんだ。光から音への変換は、ここ1年半追求していて、来年、作品としてリリースする予定だ。実際、私が現在行なっている地球の音楽といったらリズム・デヴィルズだけだよ。私がやっている音楽の殆どは宇宙のものだ。空間と時間と一緒に演奏しているんだ。私は137億年さかのぼって、ビッグバン、つまり創造の瞬間の音を聞きたくて仕方がない。私の頭と心は目下のところ、宇宙の音、つまりピタゴラスの言う天空の音楽を聞くことにある。これが今の私の最大の関心事なんだ。 ●ミッキー、どういうことがきっかけで、宇宙の音楽に関心を抱くようになったのですか? こんな大スケールなことをやろうと思うようになったわけは?  とても単純なことさ。全ての物語りには始まりがあるものなんだけど、リズミストである私の物語は、時間と空間の始まりであるビッグ・バンからスタートするんだ。ビッグ・バンの時に宇宙の空白のページが爆発して、恒星や惑星、太陽、月、地球、そして私達のような生き物を作り出したんだ。だから、あらゆるものの起源がビッグ・バンなんだ。それを知った私はビッグ・バンがどんな音をしてたのか聞きたくなったので、科学に目を向けた。そして、光の波を音声に変換するために、世界中の電波望遠鏡やNASAに注目したんだ。科学者達は、こうしたものを波の形で振るえているものとしか考えない。しかも、これは光という別の波のものなので、通常、音としては考えていない。彼等はそれを宇宙背景放射と呼んでいるんだけど、私は非常に音指向の人間で、いつも、光以外に音の観点でものごとを考えている。光が存在するのなら、その後ろに音がも存在するはずだ。振動という現象が存在するするからだ。私は自分がどこからやって来たのか知りたいと思っていたから、そういうことを知って、探求心はさらに触発された。ビッグ・バンの音は神の音のようなものだろう。この瞬間に宇宙が創造されたのだから。それに、もし神が存在するのなら、ビッグ・バンはひとつの振動であり、不規則なリズムを持っているに違いないのだから。仲間のひとりが2006年にビッグ・バンを発見し、それでノーベル賞を取ったんだ。彼はビッグ・バンが137億年前の出来事だと突き止めた。とても触発されたね。こうしたことが発見されて、情報がどんどん入って来るとなると、もはや無視することなんて出来ず、星の世界に行くのが当然のことのように思えてきたのさ。 ●哲学と科学のハイブリッド状態っていいですよね。私も個人的には、あらゆるものも根源はひとつであって、その根源が自己を認識した時に、そこからさまざまな層が生じて構造が形成されるのだ、と考えています。音や音楽の中にもそうした構造があるとも思っています。  そうなんだよ。分かってるじゃないか、マイケル。音楽や芸術にとって、科学としっかり握手することが出来るのは素晴らしい機会だ。科学者のほうでも歓迎だろう。私は宇宙学会議で演奏したこともあるんだけど、彼等にとっても、音楽があって完全な円が出来上がったようだった。 ●ミッキーは思考の幅がもの凄く広い科学者のようですね。アメリカでは科学が自動車の後部座席に座っているような状況であるのを見て、歯がゆく思いませんか?  思うね。科学は苦しい状況にある。教師側で、科学をもっと楽しくするような新しい教え方が必要だし、次世代に対して違うふうに科学を教えるやり方を、教師自身に教える方法も必要としている。宇宙の音について考えるのも新しい方法のひとつだ。そのうち、宇宙の音響的側面も学校で取り上げるようになると思う。現代の学校では科学は自動車の後部座席に座っているような存在だけど、願わくば、意識と熱意が高まって、科学を楽しいものにするような方向に進むといいね。自分がやっていることは、楽しんでやらなきゃいけない。自分がやってることを好きでなきゃいけない。さもないと、誤った理由でそれをやってることになりかねない。 ●面白い意見ですね。また、悲しいことに、学校だけでなく多くの家庭でも、科学は宗教の二の次三の次になっていて、宗教は事実上、国の制度になってしまっています。政教分離の原則があるのに…。  今では、ヴァチカンにだって天体物理学局があって、隕石を収集したり、科学界の意見を聞いたりしてるんだ。自分たちの教義が防弾状態でないことくらい分かっていて、自分達の世界観を宇宙無限論と仲直りさせようと試みている。それに関してはさまざまな意見があるけど、宗教側も、このような科学のことを注視しているんだ。 ●しかし、科学を恐れている宗教もたくさんあると思います。一方、科学が宗教のある側面を採用することもありますよね。  ヒンドゥー教がそうだね。たくさんの古代宗教や神秘主義者達は、何世紀もの間、このようなことをそれとなく語っているのだけれど、現代では、科学は新たなスピンが加わって本格的なものとなった。ピタゴラスはそれに熱心だった。彼が活躍していたのは紀元前400年だけど、それを正しいやり方でやっていた。彼は音楽学の創始者で、オクターブや5度、3度、音階という概念を作ったんだ。現代において、太陽系内を回る天体全てに数学的平衡状態が存在することが、科学によって証明されている。だから、何かあるんだよ。古代の神秘思想家が知っていたこと、書物に書いていたことを、科学は今になってやっと認め始めているんだ。 ●科学と宗教が交わるわけですね。  とても面白い。言わば、目と耳両方が開くようなものだろう。 ●ミッキーが今、悩んでいる問題はどんなことですか?  事物のリズムについてだ。メキシコ湾、北朝鮮、イランを見ると、リズムの問題が見えてくる。人間は世界のリズムからはずれてしまっているんだ。この宇宙にはリズムがあって、自然はとても手際が良くリズムに乗ることを好んでいる。リズムに乗るのが最も効率が良いからだ。人間がそういうリズムを壊し、干渉すると、リズムが狂った現象が生じてしまう。こうなると破壊あるのみで、何も作り出さない。組み立てるのではなく、取り壊してしまうんだ。世界が狂ってしまったというのは、適切な言い方ではない。私の見方では、世界はリズムからはずれてしまってるんだ。リズムという観点から見ると、ずっと説明し易くなる。人間は自然とリズムが合っていない。政治的に不安定な地域や、イスラムの好戦的な考え方や宗教的に極端な考え方がはびこっている紛争地域の全てで人間が抱えているのは、まさにそういう問題なんだ。私達は、そういうこととはまさに反対の側にいるダライラマと波長を合わせるだけでいい。彼こそリズム・マスターで、あらゆる事物と調和している。だから、私達は彼の発言にもっと耳を傾ける必要がある。リズムを合わせ、能率と流れを重んじ、環境をもっと意識するという観点で考えることが必要だ。ニュースを見て、全体的にこう思うね。 ●こういう考えをあなたはどうやって拾い上げているのですか? ダライラマは優れた発言をしていますが、どのようにして人々の耳を賢者の言葉に傾けさせるのですか?  皆に話す。本を書く。それから、優先順位が整理されるヴァーチャル・リアリティーを作り出す音楽を作る。皆をある種のエネルギーで満たす環境を作る。皆が世界に出て、それを使って何か良い行動が出来るようにね。私に出来るのはこれだけだ。個人の力では、核兵器拡散とか地球温暖化といった巨大な問題には取り組むことは出来ない。問題を緩和し、この問題をに対する意識を高めるには。自分の出来ることをやるしかない。私が常に音楽活動を行なっているのは、音の信号にはパワーがあるからだ。音楽は私にとっては魔法の杖であり、言葉であり、こうした問題について意見を発する力なんだ。この種の意識が、たぶん、良い効果をもたらすのだろう。ダライラマも言ってるように、それが届くのがたったひとりの人間の耳だとしても…。 ●素晴らしい考え方です。もっと個人的なことをうかがってよろしいですか?  今朝はどのメーカーの練り歯磨きを使ったのかってこと? ●グレイトフル・デッドのメンバーは兄弟で、これまで一緒にさまざまなことを経験し、たくさんの音楽を創造し、お互いの人生に大きな影響を与え合ってきました。長年ジェリーとプレイしてきたとなると、ジェリーが亡くなったことで開いてしまった穴はどのようなものなのでしょ? 1995年からずっとそのような状態なわけですが…。  確かにそういう状態だね。 ●ミッキー個人としては、そうした穴はどのようなものなのでしょう?  想像してよ。親友を亡くした経験が君にもあるかい? ●ええ。  親しい人が亡くなると、ショックを受けて悲しみ、その後やっと喪失したってことを理解するものだろ。一緒に体験した良いこと全部を思い出して、ほほ笑んだりもする。もちろん、ジェリーがいなくて寂しいさ。ジェリーのことを思い出すと、いつも考えるんだよ。「ジェリーだったら何て言うかな?」とか「ジェリーだったらどうするかな?」とか。一緒にやったいろんなことを思い出すと、笑っちゃうね。ジェリーのことを思い出すと、たいていニヤニヤしてしまう。ジェリーはとても楽しい奴で、35年間くらい私は笑わされていたからね。私は前進を続けているのだけど、ジェリーは何らかの形でいつも私と一緒にいる。取り除こうと思っても出来ないよ。ジェリーはいつも私と一緒にいてくれる。本当に楽しい思い出だ。偉大な奴だった。とても優しくて、おかしくて、頭の良い奴だった。気遣いの出来る人だった。特に、そんなに裕福でない人達にはやさしく、支援していたよ。人生における不可思議なことも好きだった。私もそういうものが好きだった。ジェリーと私は多くの点で似たような感性を持っていた。 ●グレイトフル・デッドの曲の中で一番好きなものは何ですか? 子供の名前を考える際に、あれこれ目移りするようなものだとは思いますが…。  自分が上手にプレイ出来る曲、グループとして優れた演奏が出来る曲だったら何だって大好きさ。長年、演奏したり、自分で書いたり、何らかの形で参加している優れた曲は、それこそたくさんあるので、好きな1曲を選べというのは、キミの言う通り、子供の名前を考える時のようにあれこれ目移りしてしまうね。非常に個人的なことだし、毎日変わって行くものだ。「Fire On The Mountain」でこれ以上ないってくらい良い演奏が出来た時には、その晩のナンバー・ワン・ソングはこの曲になるだろうね。ちなみに、これが音楽に関する最も最近の思い出だ。1つに絞るのは難しいよ。パフォーマンスの出来次第だし、どういう演奏が出来て、どれだけグルーヴに乗れたか次第だからさ。私のナンバー・ワン・ソングの決め方はこうだ。総合的に決めることなんて出来ない。非常に個人レベルのことだからさ。 ●曲の膨大なカタログを持っている人にこういう質問をするのは適切ではないかもしれませんね。グレイトフル・デッドは過去のコンサートを『ディックス・ピックス』シリーズ等としてリリースしていますよね。  『ディックス・ピックス』ね。ディック(・ラトヴァヤ)は私達の音源管理人だった人物で、彼がディックス・ピックス(ディックのお気に入り)と呼んでいたんだ。 ●グレイトフル・デッドはあまりアンソロジー・アルバムをリリースしていません。「グレイテスト・ヒット」「ベスト盤」がいくつか出ているだけですね。膨大な過去のカタログからこうしたものを編むのは不可能だからですか?  私はそんな作業はやらないし、そもそも出来ないと思う。でも、グレイトフル・デッドの音楽を本当に理解している人をスタッフとして抱えている。私はグレイトフル・デッドの音源は聞かないんだ。ミスや失敗ばかりが聞こえちゃうからね。私にとっては、いったん演奏しちゃったら、それで終わり。でも、ファンにとってはそうではないんだろう。難しいところだよね。 ●新人ミュージシャンへのアドバイスはありますか?  本当に音楽をやりたいのではなければやるな。自分にとって音楽が大きな意味を持つのでなければやるな。そうすれば、音楽を演奏するのが必然になる。音楽ビジネスってとても難しいんだ。音楽を演奏する腕前も必要なんだけど、それだけではだめなんだ。必ずしも音楽がそれが内在するパワーのために評価されているわけではない世界の中で、生き残る力も必要なんだよ。とても難しい業界だよね。これがどんなミュージシャンにも言う私からのアドバイスだ。強い衝動に駆られているのでないならば、本当に愛しているものでないならば、運命でないならば、聞いてるだけにして、仕事にするのはやめておけ。私の言ってることが分かると思うけど、音楽を演奏するためには大変な努力が必要なんだ。たった数時間ステージに立つために、長時間の練習が必要だ。数時間の音楽を届けるためだけに、世界中を旅しなければならない。論理的に考えて、最終的に得るものがそのような目標と違うものである場合は、あまり大きな報酬とは言えない。これが、自分の人生を使ってこの世でやるべきだと思ってることの本質さ。これがミュージシャン志望の人に言いたいことだ。 ●えぇと、話し忘れていることはありませんか…。全部を話すなんて無理なことなのですが…。  忘れ物はないと思うよ(笑)。 ●今日はインタビューを受けてくれてありがとうございます。楽しく会話をすることが出来ました。  いろんな質問をしてくれてありがとう。 (transcribed by Ryan Gaffney)